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第51回全日本スキー技術選手権大会

●後送●未記入●不規則に並んだ溝コブは、各自の技術力が試される

技術選の熱戦は、まずは予選から始まる!

  第51回全日本スキー技術選手権大会が、今年も長野県・白馬八方尾根スキー場にて3月11日~16日まで開催。
今シーズンは、同時にデモンストレーター選考会が行われることもあって、各選手たちの意気込みも高まっているはずだ。

  予選は12日、13日の2日間で行われ、明日14日の本選には男子90位、女子60位が進出する。昨年の決勝で男子50位、女子20位以内のシード選手と共に本選で3種目を戦うことになる。

  予選1日目は、「名木山 中壁」ゲレンデで、小回り/中急斜面・整地と「ウスバ」ゲレンデで、大回り/中急斜面・整地が行われ、春の陽気で緩んだバーンコンディションで滑走性を失い、各選手は苦戦を強いられていた。
また、当初予定していた大会バーンの変更により、難易度が低い設定に自らスキーへの働きかけによるパフォーマンスが必要となった。

  予選2日目は、「パノラマ」ゲレンデで、小回り/急斜面・不整地、「ウスバ」ゲレンデで、フリー/中急斜面・整地が行われた。
前日とは陽気とは打って変わって、大粒の雨が降りしきる中、スノーセメントによって締まったバーンコンディションにも上手く対応しなければならない。

  昨シーズンの大会から、採点の観点が大幅に変更され、スキーの動きを重点的に評価している。また、状況に応じたスキー技術の幅が要求される一方、各選手の個性も評価しているように感じられた。ベテラン勢の活躍も期待できるであろう。
明日(14日)からは、シード選手も加わり、さらに高いレベルの戦いになるに違いない。

●後送●未記入●予選初日のウスバゲレンデ種目は、気温が上がり滑走性を失っていた

予選リザルト

  • 【男子予選リザルト】
    1位 本田佳祐(新潟県)
    2位 平出晋大(北海道)
    3位 尾崎勇紀(北海道)
    4位 成田雄大(青森県)
    4位 小林仁(長野県)
    4位 猪又誠(長野県)

    男子予選リザルト詳細はこちら

  • 1,060pt
    1,055pt
    1,054pt
    1,053pt
    1,053pt
    1,053pt

●後送●未記入●中壁で行われた小回り/中斜面不整地では、ベテラン勢がテクニックを見せ付けた
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●後送●未記入●ソデグロで行われるはずの小回り/急斜面ナチュラルがキャンセルとなり、中壁で小回り/中斜面整地が行われた

シード選手が加わって本選がスタート!

前日まで2日間の予選を勝ち抜いた選手にシード選手が加わり、明後日16日までの3日間、今季の王者を決める熱い闘いが始まった。

  本日は「本選」で午前中は、うさぎ平ゲレンデで「大回り/規制/急斜面整地」、アルペンクワッドリフトを挟んだ隣の「ソデグロコース」で「小回り/急斜 面ナチュラル」の2種目を同時進行で行ない、午後からはウスバゲレンデで「フリー/中級斜面整地」の1種目が行なわれる予定だった。

  しかし濃霧による視界不良のため中断時間が長くなり、競技進行に影響が出るとの判断で、急遽、大回り種目は競技開始時刻が1時となり、コースもウスバゲレンデへと変更。あわせて種目名も「大回り/規制/中級斜面整地」となっている。

  また小回り種目は女子選手全員が滑り終えた時点で協議され、残りの男子選手全員の滑走は午後1時30分から名木山ゲレンデの通称「中壁」で行なわれた。そのため種目としては男子だけ「小回り/中級斜面整地ナチュラル」に変更となった

  そして午後に予定されていた「フリー/中級斜面整地」はキャンセル。残念ながら本選は2種目だけで争われることとなってしまった。

  女子の「小回り/急斜面ナチュラル」は、昨日の雨で、コース表面の雪が柔らかくなっていて、大きなコブにはなっていなかったが、足下が取られやすい状況でも安定したターンとスピードをキープした選手に高得点が出ていた。

  この種目に絶対の自信を持つ昨年の女王、佐藤麻子が276点の高得点を叩き出し、2連覇に向けて順調なスタート。一昨年の覇者、兼子佳代が昨年のリベンジを果たそうと274点と後を追う。

  一方、男子は名木山「中壁」に変わってコース難度が下がり、しかもスノーセメントでパックされたコース状況もあって、選手は各自リスクを背負っての高次元カービングショートターンでの勝負となった。

ここでトップの280点を叩き出したのは、昨年、惜しくも4連覇が叶わなかった丸山貴雄選手だ。適度な捻りにより、深みのある丸い弧に加え、スキーの走 りを見事に表現していた。2007年から2連覇した井山敬介選手はトップスピードで、質の高いカービングショートターンをゴールまで表現して279点と丸 山選手に続き、好調さをアピール。

「大回り/規制/中級斜面整地」のウスバゲレンデは起伏があり、ゴールが近づくにつれ斜度が緩くなるので簡単そうな斜面にも思えるが、逆にスピードをいか に保持するかが難しさのひとつとされている。しかも、雪面が柔らかく、男子の競技中はスノーセメントも使われたが、スピードが速くなるほどターンをコント ロールするのが難しくなるような状況だった。

この種目でも井山選手の滑りが光った。ハイスピードでスムーズなスキーの動きを表現し281点を挙げ、総合でもトップを獲得。技術選男子史上最多となる5回の優勝経験を誇る柏木義之選手も、同じく281点で、総合でも井山選手に1点差の2位に付けている。

優勝経験者の4選手がトップ4を独占。実力者の水落亮太選手、片山秀斗選手、岡田利修選手、山田卓也選手らが追いかける展開で、地元の太谷敏也選手や佐藤栄一選手らも今後の上位争いに加わりそうだ。

女子は、スピードに強さを発揮する金子あゆみ選手が272点でトップを奪取。そしてこの種目でも兼子選手が2位となる270点を挙げ、初日の総合トップに躍り出た。佐藤選手はこの種目268点の6位と伸びず、単独トップに出るチャンスを逃してしまったと言えるだろう。

総合で兼子選手や佐藤選手に続くのは、2種目の得点をまとめてきた水落選手で、総合3位の2点差。そして金子選手が3点差で総合4位となっている。

明日からは男子70名、女子30名が2日間で決勝5種目を争う。今年の栄冠は誰が手に入れるのか楽しみだ。

●後送●未記入●カービング特性の強い単調な滑りが多い中、丸山選手はヒネリを加えた巧みなスキーコントロールで魅了した

本選リザルト

  • 【男子本選リザルト】
    1位 井山敬介(北海道)
    2位 柏木義之(新潟県)
    3位 吉岡大輔(新潟県)
    4位 丸山貴雄(長野県)
    5位 水落亮太(新潟県)

    男子本選リザルト詳細はこちら

  • 560pt
    559pt
    556pt
    554pt
    553pt

●後送●未記入●スノーセメントで硬く締まったウスバゲレンデを安定感のある滑りで高得点をマークする佐藤選手
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●後送●未記入●今大会では、井山選手らしい鋭いエッジングと軽快な動きなど、本来のパフォーマンスが戻ってきた

いよいよ大詰めの決戦が開始!

  澄み切った空気に雲ひとつ無い青空のもと、本日から決勝競技がスタートした。

  決勝初目は、まず「フリー/規制/急斜面整地」がうさぎ平ゲレンデで行なわれ、ソデグロゲレンデに移動して「大回り/急斜面ナチュラル」、再びうさぎ平 ゲレンデに戻って「小回り/急斜面整地」の3種目。同時進行ではなく、1種目ごとに進行したので、ギャラリーは3種目全てを観戦することができた。

  最初の種目「フリー/規制/急斜面整地」で選手は小回り用のスキーを使用することが義務づけられているため、ターン構成とスピードをどう表現するかがポイントになってくる。

  女子では前日トップに立った佐藤麻子選手がスピードに乗った圧巻の滑りで276点と高得点を挙げ、同じく前日トップだった兼子佳代選手は274点と、ほんの少しだが点差が開いた。

  男子は井山敬介選手が、スキーを縦に落としていく見事な滑りで283点とトップの点数を叩き出す。が、しかし柏木義之選手、丸山貴雄選手、吉岡大輔選手、水落亮太選手ら前日の上位選手もこぞって282点を挙げ、トップの井山選手に食らいついていく展開。

  2種目は「大回り/急斜面ナチュラル」。昨日の女子の「小回り/急斜面ナチュラル」で使用したコースをそのまま大回りで使用。気温が上がり、雪面も柔らかくなりスキーがはじかれやすい状況であったが、上位選手たちは悪条件に関わらず「自分の滑り」を披露していた。

  女子は佐藤選手、兼子選手、水落選手が揃って277点を挙げ、男子は丸山貴雄選手が非常に安定感を感じさせる見事な滑りでトップとなる285点を獲得。 ベテラン山田卓也選手や巧者・藤井守之選手が283点を挙げ、柏木選手と井山選手は揃って282点。丸山選手の追撃が始まった。

  3種目目は「小回り/急斜面整地」。午後からの競技ということで雪質が心配されたが、スノーセメントも使用し極上のコンディションのバーンが用意されていた。

  女子は総合トップの佐藤選手を追いかける金子選手が278点、続いて兼子選手も277点と先に高得点を挙げて後に滑る佐藤選手にプレッシャーを掛けたか に見えたが、佐藤選手はプレッシャーを感じさせない滑りで278点ということで本日の3種目全てトップの点数を挙げて、他の選手の追随を許さなかった。

  男子も、女子と同じように追いかける側の丸山選手が2種目目の勢いをそのままに285点を叩き出したが、位山選手は285点、最終班の柏木選手はなんと287点を挙げ、丸山選手は差を一気に縮めることができなかった。

  明日はいよいよ最終日。
男子の総合1位は同点で柏木選手と井山選手、3位の丸山選手も追い上げ、トップふたりまでの差は、たった3点。最後にドラマが起きそうな予感。昨年のチャンピオン、吉岡選手はトップと9点差の4位と逆転優勝は少し苦しくなっている。

  女子は総合1位の佐藤麻子選手を兼子選手が3点差で追っているが、3位の金子選手と水落選手は7点差と少し開いていて、明日の最終種目が佐藤選手の得意種目「コブ」であることからも、兼子選手の逆転優勝があるかどうかという感じに思えてくる。

  さあ泣いても笑っても、残り2種目。選手たちには最後までベストを尽くしていただきたい。

●後送●未記入●女王奪還を狙う兼子選手。一種目一種目どの種目も確実に得点を重ねていき、ゴールドゼッケンにプレッシャーを掛ける

決勝1日目リザルト

  • 【男子決勝・中間報告】
    1位 柏木義之(新潟県)
    2位 井山敬介(北海道)
    3位 丸山貴雄(長野県)
    4位 吉岡大輔(新潟県)
    5位 水落亮太(新潟県)

    男子リザルト詳細はこちら

  • 1,410pt
    1,410pt
    1,407pt
    1,401pt
    1,397pt

●後送●未記入●常に高いパフォーマンスで上位に食い込む柏木選手。ベテランとなった今は上手さがさらに加わった
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●後送●未記入●男子は、王者に返り咲いた井山敬介選手。女子は、二連覇を成し遂げた佐藤麻子選手

決勝2日目の最終決戦でチャンピオンが決まる!

王者と女王が決まる最終日。しかし、今回はデモンストレーター選考会を兼ねていることもあり、トップ争いだけでなく、デモを目指す選手たちの闘いもあって、最後の2種目が終わるまで緊張感のある雰囲気で行なわれた。

  最終部は2種目ともうさぎ平ゲレンデを使用。最初にコース向かって左側で「フリー/急斜面整地」を、そして最後はコース向かって右側で「小回り/急斜面不整地」が行なわれた。

  一種目目の「フリー/急斜面整地」で、まず女子は兼子佳代選手が278点の高得点を挙げるも、佐藤麻子選手が277点と差を縮められず、前日3位で、こ の種目で少しでも追い上げたかった金子あゆみ選手は274点と逆に差を広げられてしまい、残り1種目で女子の優勝争いは佐藤選手と兼子選手の2人に絞られた。

  男子は前日トップの柏木義之選手が同じく前日トップの井山敬介選手より先に滑り、284点というスコアでプレッシャーを掛けたかに見えたが、井山選手は 286点のハイスコア。そして前日3位の丸山貴雄選手も285点を挙げ、この結果1位と2位、2位と3位の差が2点差ずつと僅差で、少しのミスも許されな い状況で最終種目が行なわれることになった。

  最終種目は天候の悪化が予想されていたため、急遽、開始時間を早める措置(11時15分スタート)が取られた。しかし午後から悪化するとも言われていた が雪の降り始めが早く、最終種目の女子選手スタート後、しばらくは競技が続けられたが、次第に霧が濃くなっていき、トップを争う残り3人という時点で、 ジャッジ席から完全にスタートラインはおろかコースのほとんどが見えなくなってしまった。

  長い長い待機時間の後、ガスが途切れる間隙を縫って競技を再開。しかし金子選手はスタートしたものの、コース途中でガスが濃くなったことで再スタート。 それでも驚異の集中力で281点を叩き出す。ところが続く兼子選手と佐藤選手は、さらに条件が厳しい状況になっていたにも関わらず、どちらも282点とい う高得点で勝負は決着。佐藤選手は2連覇を達成した。

  女子の競技が終わると、またガスが濃くなってしまい。男子の開始時間は大幅に遅れた。結局午後2時にようやく競技をスタートすることができた。しかし時間が経つにつれ視界だけでなく、降雪で雪面(コブ)の状況も悪くなる中で、バランスを崩したり転倒する選手も多かった。

  前日の順位によるリバーススタートで、コブを得意とする丸山選手が先に滑り287点の高得点を挙げ、自信と不安の入り交じったような顔でコースを見上げて、井山選手と柏木選手の滑りを待った。

  続いて滑ったのは井山敬介選手。昨年はトップ争いに加わることができなかったが、昨年のこの最終種目でトップとなる285点を叩き出している。それも自信になっているのだろうか、完璧な滑りで丸山選手と同じ287点を挙げる。

  スタートに残っているのは柏木選手、ただひとり。289点で井山選手と総合得点が同点、逆転には290点が必要というプレッシャーがあったかもしれない が、しっかり身体が動いて滑らかなスキーコントロールでゴール。得点表示は287点。その瞬間、井山選手の6年ぶりの優勝が決まった。

  女子は昨年優勝を経験した佐藤選手が、優勝するための戦い方を覚えたようにも思える安定感を感じられた。そして見事に復活した兼子選手や金子選手らライ バルとの闘いはもちろん、成長し続けている大場朱莉選手や関塚真美選手、栗山未来選手など、期待できる若手の存在がいることも楽しみだ。

  一方で今季も男子の優勝争いは優勝経験のあるベテラン勢。そのポテンシャルはかなりのものであることは間違いないのだが、その実力者たちの間を割って、思わず肝を冷やすような活躍を見せる選手が、次大会で現われることを期待したい。

●後送●未記入●全種目で身体とスキーの動きのマッチングが良い井山選手。昨シーズンから変更したマテリアルとの相性が良いのだろう

決勝総合リザルト

  • 【男子総合リザルト】
    1位 井山敬介(北海道)
    2位 柏木義之(新潟県)
    3位 丸山貴雄(長野県)
    4位 吉岡大輔(新潟県)
    5位 水落亮太(新潟県)

    男子総合リザルト詳細はこちら

  • 1,983pt
    1,981pt
    1,979pt
    1,971pt
    1,967pt

●後送●未記入●最終種目は、得意の小回り/急斜面不整地で有終の美を飾った佐藤選手。長い中断にも関わらず、最高の滑りで締めくくった