大会最終日の朝を迎えた。昨日とは打って変わって風が無く、スキー場ベースではすでに気温が高く感じ、やや霞がかっていた。決戦の場となる「うさぎ平ゲレンデ」へリフトで向かうと、次第に霞がとれ、キリっとした空気に切り変わった。最終日独特の緊張感からかも、そう感じたのかもしれない。
最終日の午前中は、昨日順延となった「大回り/急斜面ナチュラル」がノドクロのコートで、「フリー/急斜面整地」はメインのうさぎ平ゲレンデのコートで、それぞれ同時進行で行なわれた。
「大回り/急斜面ナチュラル」は技術選の種目として久しぶりに復活したこともあって、今回、選手だけでなくギャラリーからも注目が集まった種目だ。
男子は昨日総合トップに立った吉岡大輔選手がいきなり285点のビッグポイントを獲得。次の班に登場した総合2位の丸山貴雄選手は点差を離されたくないところだったが、280点の高得点ながら、差を広げられてしまった。また、岡田利修選手が吉岡選手と同じ285点を叩きだして、一気に順位を上げてきた。女子は総合1位の佐藤麻子選手が279点を挙げて、総合2位の金子あゆみはプレッシャーが掛かったのか277点を獲得したものの、男子同様、差は広がった。
一方「フリー/急斜面整地」では女子は佐藤選手が278点、金子選手が277点、男子の吉岡大輔選手は283点、丸山貴雄選手が282点と、こちらもじわりと差を広がったカタチで、最終種目の「小回り/急斜面不整地」へと進むことになった。
「フリー/急斜面整地」のコートは、朝イチはやや固かった雪質も気温の上昇とともに緩んでいき、うさぎ平ゲレンデのコートには途中からスノーセメントが使用されたものの、ゴール付近の雪質は緩くなったままで、ゴール後に転倒する選手が数名いたのが残念だった
「小回り/急斜面不整地」は距離が長いだけでなく、午前中の競技中にコースを一般スキーヤーにも開放したことで、かなりミゾが深くなって、難易度はかなり高くなっていた。滑る順番はここまでの順位の逆で、最初に女子の30位からスタート。女子が滑り終わった後に男子の100位の選手からスタートだ。
女子は総合2位の金子選手が先に滑って、佐藤選手に逆にプレッシャーを掛けたいところだったが、素晴らしい滑りだったものの276点と伸びず、逆にプレッシャーが少なくなった佐藤選手は281点となり、最終的には10点の大差で初優勝を決めた。
男子もコブを得意とする丸山選手が先に滑り284点の高得点を挙げたが、陽が傾き、若干コブが見えにくくなった状況でも吉岡選手は安定した滑りを見せ、281点を挙げて念願の初優勝。昨年のリベンジを果たした。また、残念ながら今回得点があまり伸びず総合7位だった元チャンプの井山敬介選手は、この種目で285点のラップを出し、最後の最後で意地を見せた。
最終的に男子はベテラン勢の活躍で大会は盛り上がったが、若手のさらなる飛躍が無かったのが寂しいところ。トップ3を脅かすような滑りをする若手の出現に期待したい。
女子は9連覇を達成した松澤聖佳選手以降、毎年優勝者が変わる「戦国時代」の様相。佐藤麻子選手にはぜひ連覇を狙ってもらいたいし、金子選手はもちろん前回の覇者で惜しくも6位となったが兼子佳代選手にも復活&リベンジを期待したい。総合3位となった水落育美選手や4位の大場朱莉選手など、他の選手にも十分チャンスはあるはず。
来年も、八方尾根スキー場が技術選の舞台。誰もが予想する結果を超えるような、熱い闘いが繰り広げられることを期待したい。
Photo&Text Tomohiro Watanabe
【男子総合リザルト】
1位 吉岡大輔(新潟県)2245pt
2位 丸山貴雄(長野県)2241pt
3位 柏木義之(新潟県)2238pt
4位 岡田利修(東京都)2226pt
5位 片山秀斗(新潟県)2225pt
5位 水落亮太(新潟県)2225pt
男子総合リザルト詳細はこちら
http://www.hakuba-happo.or.jp/50gisen/result/final-male.pdf
【女子予選リザルト】
1位 佐藤麻子(青森県)2207pt
2位 金子あゆみ(新潟県)2197pt
3位 水落育美(秋田県)2184pt
4位 大場朱莉(宮城県)2164pt
5位 藤田潤子(秋田県)2163pt
女子総合リザルト詳細はこちら
http://www.hakuba-happo.or.jp/50gisen/result/final-female.pdf
技術選オフィシャルサイトはこちら
http://www.hakuba-happo.or.jp/50gisen/