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【決選2日目】2015技術選レポート総合成績2015/03/16

【決選2日目】2015技術選レポート総合成績 【決選2日目】2015技術選レポート総合成績 【決選2日目】2015技術選レポート総合成績 【決選2日目】2015技術選レポート総合成績 「何かが起きる」最終日。決勝1日目のレポートで、そう書いたとおり、男子は1987年の大会以来の結末を迎えることとなった。その最終日を振り返っていこう。

今大会初の快晴の清々しい朝となり、体力的にも精神的にも疲れが溜まってきている選手たちにとって、さらに戦う気持ちを鼓舞してくれる、絶好の天候となった。

最終日はうさぎ平ゲレンデのコースを半分にして2種目が行なわれた。まずコース向かって左側で「フリー/急斜面整地」、そして最終種目はコース向かって右側で「小回り/急斜面不整地」だ。その2種目とも男子も女子も、総合順位の低い選手からのスタートとなる。

「フリー/急斜面整地」では、コースの雪質はまだまだ柔らかめだったかもしれないが、今大会で最も良いコンディションで行なわれたように思う。選手たちは自分の残っている体力をふり絞り、ポテンシャルのすべて出し切るように、思い思いのシュプールを描いて挑んでいた。

女子は総合2位の春原優衣が277点を挙げたが、続く佐藤麻子が278点と差が広がり、残すのは佐藤が得意とするコブ種目ということもあって、最初の種目が終わった時点で、残念ながらほぼ決着していたように思う。前日4位の大場朱莉が276点、5位の金子あゆみが277点を挙げ、同じく前日3位だった兼子佳代が273点に終わり、ここで総合3位争いが熾烈を増してきた。

男子は前日まで同点首位の柏木義之と丸山貴雄のどちらがアドバンテージを持つのか注目が集まったが、ここでも284点のトップスコアで並び、同点のまま決着は最終種目へと持ち越された。井山敬介は283点でトップとの差がわずかながら引き離され、この時点で優勝の可能性はさらに低くなってしまった。その井山に食らいつこうと佐藤栄一、吉岡大輔らも284点のトップスコアで続いた。

そして最終種目。当初は11時30分スタートというアナウンスだったが、コースに降り積もった雪が柔らかく、またコブのピッチも不規則ということで、競技スタッフや選手ら大会関係者総動員でコース整備が行なわれたが、競技開始時間は大幅に遅れた。

その間、観戦しにきたギャラリーに対して、なぜ進行が遅れているのかという説明が少なかったように思えた。いつ始まるのかわからない開始時間を待てず、会場を後にするギャラリーもいたことは、とても残念だった。

もちろん大会運営側としては、まず選手が安全に、フルアタックできる環境を提供しなければいけないと考えるのは当然なことなのだが、この技術選はギャラリーに対しても、できる限りの配慮をすることが必要に思う。

遅れに遅れて、最終種目の女子がスタート。上位選手でも転倒する選手もいる状況だったが、コブを得意とする切久保深雪は見事な滑りで279点の高得点を挙げた。そして3位争いを制したのは金子だった。兼子佳代が276点を挙げるも、金子は281点のトップスコアを叩き出し、続く大場朱莉も273点と伸びず、表彰台を逃した。

残すは春原と佐藤だけだが、春原は275点と健闘するも、佐藤はほぼ完璧な滑りで281点を挙げ、最終的には2位春原に10点の差をつけての圧勝で3連覇を達成した。

男子のスタートも女子終了後から、長く待たされてスタート。太陽が傾き、雲に隠れ始めたため雪面はややハードになって、難易度が上がっていた。女子と同様、コブを得意とする選手でも転倒やミスが多く目立った。これで順位を下げてしまった選手もいたが、最後まであきらめずに攻めていた選手たちには、順位に関係なく敬意を表したい。

競技は進行し、残りはトップ5の6名の選手のみとなった。その最初に滑った藤井守之は滑走スピードの速さ、抜群の安定感が感じられるスキーコントロールで285点の最高点を叩き出した。同じ総合5位だった佐藤栄一、同じく4位だった吉岡大輔も282点を挙げるが一気に順位を抜いて、280点だった井山に並んで、初めての3位に食い込んだ。

そして残すはツートップの戦い。先に滑った丸山は284点とハイスコアを挙げ、柏木にプレッシャーを掛ける。しかし柏木もこれまで5度の最多優勝を含む百戦錬磨の経験と過酷なトレーニングを繰り返してきた自信からか、ゴールで待つコブを得意とする丸山に見せつけるような素晴らしい滑りで、丸山と同じ284点を獲得。最後まで両者譲らず、第24回大会以来、技術選史上2度目の同時優勝という結末を迎えたのだ。

お互いがその実力を認め合う柏木と丸山のこれまで戦いの歴史に、今後も伝説として語り伝えられていきそうな、まさに名勝負であった。

大会が終わり、感じたのは男子も女子も、ようやく優勝候補を脅かす選手が続々と登場してきたことだ。女子では2位に入った春原、4位の大場、6位の関塚真美、7位の栗山未来、8位の川端佑沙、9位の今井優子などは、特に注目してほしい存在だ。

男子も、優勝した丸山と柏木に井山と吉岡の「BIG4」が他の選手の追随をこれまで許さないような展開だったが、初の表彰台にあがった藤井は、十分にトップを争える実力を証明した。そして佐藤や高瀬真一、水落亮太に青木哲也が続き、総合8位のベテラン山田卓也も決勝種目すべてに280点オーバーと存在感を残した。武田竜は初出場で見事に9位を獲得。同じく初出場で高い注目を集めた皆川賢太郎の13位は、本人としては不本意な結果であったろうが、来年、この2人がどれだけの準備をしてくるか楽しみでならない。

技術選は来年も同じ白馬八方尾根スキー場で行なわれる。ぜひ会場に足を運んで、選手達の迫力ある滑りと熱い闘いを観戦していただきたい。
 
Photo&Text Tomohiro Watanabe


【男子総合リザルト】
1位 柏木義之(新潟県) 2,262pt 
1位 丸山貴雄(長野県) 2,262pt
3位 井山敬介(北海道) 2,252pt 
3位 藤井守之(新潟県) 2,252pt
5位 吉岡大輔(新潟県) 2,250pt

【女子総合リザルト】
1位 佐藤麻子(青森県) 2,213pt
2位 春原優衣(長野県) 2,203pt
3位 金子あゆみ(新潟県) 2,200pt
4位 兼子佳代(福島県) 2,194pt
4位 大場朱莉(宮城県) 2,194pt

決勝総合リザルト詳細はこちら
http://www.gisen.info/finalround2/

技術選オフィシャルサイトはこちら
http://www.gisen.info/

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