スキーやスノーボードは、広大なゲレンデを滑り降りる爽快感が魅力のウィンタースポーツです。しかし、ゲレンデには様々なレベルの人が集まるため、誰もが安全に楽しむにはルールとマナーの遵守が欠かせません。

特に初心者のうちは、滑る技術だけでなく、周囲への配慮や基本的な決まり事を覚えておく必要があります。知らず知らずのうちに危険な行為をしてしまわないよう、基本的なルールや行動の注意点をしっかり確認しておきましょう。

スキー場でルールやマナーを守ることが大切な理由

スキー場は、子どもからベテランまで、異なる技術レベルのスキーヤーやスノーボーダーが同じ空間を共有する場所です。そこで定められているルールやマナーは、自分自身の安全を確保すると同時に、他の利用者との衝突事故を防ぎ、誰もが快適に過ごすために存在します。

些細な不注意や身勝手な行動が、他人を巻き込む重大な事故につながる可能性も潜んでいます。お互いが気持ちよく滑走するために、基本的な決まり事を理解し、常に周囲に気を配る意識を持つことが求められます。

【滑走中の基本ルール】ゲレンデでの衝突を避けるために

スピードが出ている状態での衝突は、打撲や骨折といった大きな怪我に直結する危険性が高くなります。

こうした事故を未然に防ぐためには、全日本スキー連盟が定める滑走者の行動基準などを基にした、世界共通の基本ルールを理解しておく必要があります。安全に楽しむために、特に注意すべき滑走時のルールを把握しておきましょう。

下を滑っている人が常に優先

ゲレンデでは、自分より前方、つまり谷側を滑っている人に常に優先権があります。後方から滑る人は、前方の人の動きをよく見て、その進路を妨げないように滑走する義務を負います。前の人が予期せぬタイミングでターンをしたり、転倒したりすることも想定し、いつでも安全に停止または回避できるだけの十分な距離を保たなければなりません。

この原則は追い越し時やコースの合流地点でも適用される、衝突事故を避けるための最も基本的なルールであり、常に注意を払う必要があります。

自分のレベルに合ったスピードで滑る

ゲレンデを滑る際は、自分の技術レベルや、その時の天候、雪質、混雑状況などを総合的に判断し、常にコントロール可能なスピードを維持することが求められます。スピードの出し過ぎは、急なターンや停止ができなくなり、転倒や衝突事故を引き起こす最大の原因となります。

特に、見通しの悪い場所やコースの合流地点、リフト乗り場周辺などの混雑しているエリアでは、いつでも安全に停止できる速度まで落とす注意深さが必要です。周囲の滑走者の流れに合わせることも、安全確保につながります。

追い越すときは十分な間隔をあける

前方を滑る人を追い越す場合は、相手がターンなどで進路を変えても接触しないよう、上下左右に十分なスペースを確保して行います。追い越される側は後方から来る人を認識していないことが多いため、安全を確保する責任は完全に追い越す側にあります。追い越す際は、相手にプレッシャーや恐怖感を与えないような配慮もマナーの一つです。

特に初心者は動きの予測が難しいため、追い越す際にはより一層の注意が求められます。見通しの悪い場所や狭いコースでの無理な追い越しは避けるべきです。

合流時や滑り出す前は周囲の安全確認を徹底する

複数のコースが合流する地点や、休憩を終えて滑り出す際には、必ず周囲の安全を確認する習慣をつけましょう。特に自分の上方、つまり山側から滑ってくる人がいないかを、しっかりと目で見て確認することが不可欠です。コース脇で停止している人は、上から滑ってくる人にとって死角になりやすい位置にいることがあります。

周囲の状況を確認せずにコースへ入ると、高速で滑ってくる人と衝突する危険性が非常に高いため、滑走者の流れを妨げないタイミングを見計らう注意深さが求められます。

管理区域外やコースロープの外は滑らない

スキー場が設置しているコースロープやネット、立ち入り禁止の看板がある場所は「管理区域外」であり、滑走は絶対に禁止されています。これらのエリアは、雪崩が発生する危険があったり、パトロールによる安全確認や整備が行われていなかったりするため、重大な事故に直結します。

手つかずの雪は魅力的に見えるかもしれませんが、雪の下には岩や木、沢などが隠れていることもあり非常に危険です。万が一事故が起きても救助が遅れる可能性が高いため、必ずスキー場が指定したコース内を滑走するよう注意してください。

【停止・休憩のマナー】他の人の滑りを妨げない配慮

ゲレンデで滑走していると、疲れや用具の調整などで一時的に停止したり休憩したりすることがあります。しかし、どこで停止しても良いというわけではありません。場所の選び方を間違えると、他の滑走者の進路を妨害し、追突事故を誘発する原因になりかねません。

自分と他者の安全を守るため、停止する場所や方法には細心の注意を払い、常に周囲への配慮を忘れないように行動することが求められます。

コースの真ん中での座り込みはしない

コースの中央部分は、多くのスキーヤーやスノーボーダーが滑り降りてくるメインの滑走ラインです。疲れたり転倒したりした際に、その場で座り込んでしまうと、後方から来る人にとって非常に危険な障害物となります。特に、上からは死角になりやすく、発見が遅れると衝突事故につながる可能性が高まります。

スノーボーダーがビンディングを装着するために座る場合も、必ずコースの端に移動してから行うのがマナーです。休憩や準備は、他の滑走者の邪魔にならない広い場所を選んで行うよう注意しましょう。

死角になる場所や狭いコースでの停止は避ける

ゲレンデの斜面が急に変わる場所や、見通しの悪いカーブの先などは、上から滑ってくる人からの死角となりやすい危険なポイントです。そうした場所で停止していると、滑走者が直前まで存在に気づけず、避けきれずに衝突する事故のリスクが高まります。また、コース幅が狭くなっている箇所で立ち止まることも、他の人の滑走ラインを塞いでしまうため避けるべきです。

停止する際は、必ずゲレンデ全体が見渡せるコースの端を選び、自分の存在が他の人から認識されやすい場所かどうか注意を払う必要があります。

グループで休憩する際はコースを塞がない

友人や家族といった複数人で滑走している場合、休憩や待ち合わせの際にコース上に広がって滞留しないよう注意が必要です。コースの真ん中に集まったり、横一列に並んでコースを塞いだりする行為は、他の滑走者の通行を著しく妨げ、大変危険です。これは衝突事故を誘発する迷惑行為とみなされます。

グループで集まる場合は、必ずコースの端の広いスペースに移動し、他の利用者がスムーズに滑走できる滑走ラインを確保する配慮が求められます。常に周囲の状況を確認することが重要です。

ゲレンデにゴミを放置しない

スキー場は美しい自然の中にある公共の場所です。ポケットから落ちたお菓子の袋やティッシュ、飲み物の容器などのゴミを雪の上に放置する行為は、絶対にやめましょう。投げ捨てられたゴミは、景観を損なうだけでなく、他の人が滑走する際の障害物にもなり得ます。また、雪解け後には環境汚染の原因にもつながります。

タバコの吸い殻も火災の危険があるため、ポイ捨ては厳禁です。自分で出したゴミは必ず持ち帰るか、場内に設置されたゴミ箱に捨てるのが最低限のマナーであり、全員が注意すべき点です。

【リフト・用具の注意点】初心者が見落としがちなポイント

安全なスキー・スノーボードの楽しみは、滑走中のルール遵守だけでは完結しません。ゲレンデへの移動手段であるリフトの利用方法や、スキー板・スノーボードといった用具の扱い方にも、初心者が特に注意すべきマナーやルールがあります。

これらのポイントを見落とすと、自分だけでなく周囲の人を危険に晒すことにもなりかねません。滑走以外の場面でも、安全への意識を高く持つことが求められます。

スノーボードが流れてしまわない様に意識する。

スノーボード装着時にありがちなのが、特に斜面でビンディングから足を外し、手を板から離してしまい、板だけコースに流れてしまう事があります。コントロールを失って滑走する板は非常に危険で、人に衝突すれば大怪我をさせる凶器となり、重大な事故につながる恐れがありますので、絶対にやめてください。

滑走途中で、やむを得ずビンディングを外す際に役立つリーシュコードを装着してください。スノーボードの板と自分の体を繋いでおくための重要な安全装備です。ほとんどのスキー場ではリーシュコードの装着がルールとして定められているため、滑り始める前に必ず装着されているか確認するよう注意してください。

スキー板は人に当たらないように注意して運ぶ

スキー板は長くて硬いため、持ち運ぶ際には周囲の人にぶつけないよう細心の注意を払う必要があります。特にリフト乗り場やレストランなど人が密集する場所では、板の先端や後端が他人に当たらないよう、スキー板を束ねて垂直に持つか、肩に担ぐ場合でも周囲の状況をよく確認します。

向きを変える際はゆっくりと動くことを心がけ、ストックも先端が人に刺さらないように持ち方を工夫しましょう。自分の用具が周囲にとって危険なものになりうるという意識を持つことが、トラブルを避けるために不可欠です。

リフトの乗り降りは係員の指示に従う

リフトの乗り降りは、特に初心者が戸惑いやすい場面です。安全かつスムーズに利用するためには、リフト乗り場にいる係員の指示に必ず従うことが最も重要です。乗車時は指定された位置まで速やかに移動し、後ろから来るリフトのタイミングに合わせて座ります。降車時は、降り場が近づいたら立ち上がる準備をし、指定の場所で素早くリフトから離れます。

万が一、乗り降りで転倒してしまった場合は、慌てずにその場で動かず、係員がリフトを停止させるのを待ちましょう。無理に動こうとすると、さらなる事故につながるため注意が必要です。

リフト乗車中に物を落とさない

リフトに乗っている間は、スマートフォンやゴーグル、手袋といった小物を落とさないように十分に注意します。
ポケットに物を収納する際は、落下防止のために必ずファスナーやボタンを閉めることを習慣づけましょう。リフトから物を落とすと、真下を滑走している人に直撃して怪我をさせる危険性があります。

また、落とした物を自分で回収しに行くのは非常に困難であり、管理区域外への立ち入りにつながる可能性も否定できません。リフト上で大きく揺らしたり、ふざけたりする行為も落下の原因となるため絶対にやめてください。

もしも事故に遭遇したり目撃したりした場合の対処法

どれだけ注意深く行動していても、ゲレンデでは予期せぬ事故に遭遇する可能性があります。もし自分が事故の当事者になったり、怪我をしている人を目撃したりした場合には、冷静な対応が求められます。

パニックにならず、適切な初期対応と通報を行うことで、けが人の安全確保と迅速な救助につなげることができます。万が一の事態に備え、基本的な対処フローを頭に入れておくことは、すべての利用者にとって重要です。

けが人がいる場合は安全な場所へ移動させる

事故現場でけが人を発見した場合、まず行うべきは二次災害の防止です。けが人がコースの中央など、後続の滑走者との衝突が懸念される場所にいる場合は、安全なコース脇まで移動させることが最優先となります。

ただし、頭部や首、背中を強く打っている様子が見られる際は、むやみに動かすと症状を悪化させる危険があるため、その場から動かさないよう注意します。動かせない場合は、自分のスキー板やスノーボードを雪面にバツ印に立てるなどして、上から滑ってくる人に危険を知らせる工夫をしてください。

周囲に状況を知らせてスキーパトロールを呼ぶ

けが人の安全を確保した後は、速やかにスキーパトロールに救助を要請します。近くのリフト乗り場の係員に直接伝えるか、周囲の人に協力を依頼して通報してもらいましょう。連絡する際には、事故が発生した場所(コース名やリフトの支柱番号など、特定しやすい目印)、けが人の状態(人数、意識の有無、負傷箇所など)をできるだけ正確に伝えることが迅速な救助につながります。

救助隊が到着するまでは、可能であればけが人のそばに付き添い、声をかけて安心させるなどの対応も重要です。
状況を観察してください。

まとめ

スキー場でのルールやマナーは、自分と他者の安全を確保し、誰もが気持ちよく過ごすために欠かせないものです。特に初心者のうちは、滑ることに夢中になり、周囲への注意がおろそかになりがちです。ゲレンデでは「下を滑る人が優先」「スピードはコントロールできる範囲で」「周囲の安全を常に確認する」といった基本原則を常に意識することが求められます。

もし判断に迷うことや困ったことがあれば、遠慮せずにスキー場のスタッフやパトロールに相談しましょう。利用者一人ひとりが思いやりの心を持って行動することで、スキー場はより安全で楽しい空間になります。
ニュースライター:SURF&SNOW 事務局

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