25-26シーズンにむけ、BurtonのSTEP ON®ブーツシリーズが刷新されて登場した。「Waverange」と「Highshot」の2モデルにBOAの搭載数が異なる3タイプがラインナップし、さらに高いフィット感と心地よいライドフィーリングをあらゆるライダーに提供してくれる。なかでもフラッグシップモデルであるSTEP ON®X Proブーツは、トリプルダイヤルBOA® PerformFit™ Wrapテクノロジーを採用し、アッパー、ローワー、アンクルの3つの部分の締め分けが可能と話題沸騰。この記事では、そんなX Proシリーズが搭載する最新のBOA技術にフォーカスしてみた。

スノーボードブーツとBOAの歴史

スポーツシューズをはじめ、アウトドア・登山用ブーツ、医療用サポーター、作業靴、スポーツ機材など、実にさまざまな製品で採用されているBOAフィットシステム。その歴史のはじまりが、スノーボードブーツということはご存じだろうか? BOAの生みの親ゲイリー・ハンマースラグ氏は、スノーボードブーツを履く際に「シューレースを結ぶのが面倒だ」と感じ、医療機器の技術を使ってブーツをラクに締めることを思いつく。数多くの試作品とテストを重ね、ラクに絞められて正確なフィット感を得られるBOA搭載スノーボードブーツが、2001年に初めて誕生したのだった。
当初はその利便性に大きな注目が集まったが、BOAはさらにその先にあるパフォーマンスの向上と人間の限界を押し上げることをミッションとして進化を続けた。現在、スノーボードブーツに採用されているBOAテクノロジーは飛躍的に発展し、その最先端技術が詰め込まれてるのが今シーズン登場のSTEP ON®X Proブーツというわけだ。

BURTON x BOAの歩み

BurtonのBOA搭載ブーツが市場に登場したのは14-15シーズン。他ブランドではすでに多くのBOA搭載ブーツがリリースされていたので、Speed Zoneやシューレースに代わるオプションとしてBurtonからBOA搭載ブーツがリリースされることは、多くのユーザーの待望だった。当初は「Ion BOA」などの高性能モデルに導入され、プロライダーからの高い評価も後押しして、登場直後からすっかり市民権を得ていた。
17-18シーズンにはデュアルゾーンBOAを搭載したモデルがラインナップに現れ、また、ストラップやバックルを使わず、トウ側2点とヒール側1点でブーツを固定する構造を持つStep OnシリーズのブーツにもBOAフィットシステムを採用。
19-20シーズンにはより多くのモデルに BOAが搭載され、BOAのバリエーション(シングルゾーン、デュアルゾーン)、ヒールホールド強化などの技術が進化。2020以降はBurtonのブーツラインナップでBOA搭載モデルの比率が増加し、ハイパワーフォーカス(強度・締め具合の可変性)、Lockdown レースなどのサポート機能も増えていく。

BOAの最新技術「ラップ構造」とは?

BOAフィットシステムもバージョンアップを続けている。なかでも、もっとも旬といえるのが「PerformFit™ Wrap構造(以下、ラップ構造)」。BOAラップ構造とは、アッパー(甲の部分)を包み込むように設計されたパネル(カバー)が、BOAフィットシステムのレースによって締まることで、足のサイズに合わせたパーソナルなフィット感とシューズ内部での足のブレを防ぎ、パワーのロスを軽減するための構造。この構造は多くのスポーツパフォーマンス向上に貢献し、ゴルフシューズやトレランシューズ、スキーブーツにも採用されている。このラップ構造の優位性は科学的に証明されているという。
ラップ構造はセパレートされたパネルによって、人それぞれに異なる甲の高さ(低さ)に合わせたホールド感を得られるのが最大の特徴だ。パネルで覆い甲がしっかりとホールドされることで、シューズの中で足が遊ばなくなるというメリットが生まれる。さらに足首をホールドする青いパネルのアンクルハンモックにより、カカトがしっかりと固定されてツマ先が前にズレることがなくなり、足指で掴んだり反らしたりといった動きもスムーズに行えるため、パワーロスのない安定したパフォーマンスにつながるということ。そんなラップ構造を採用したのがX proシリーズなのだ。

パフォーマンス向上の理由

ラップ構造やトリプルボアダイアルが、スノーボードブーツに大きなメリットをもたらすことは簡単に想像がつくだろう。3つのダイアルは、甲、足首、ふくらはぎ上部といった部位を個別に調整できるため、ズレや緩みを最小限にできる。またライナー、アンクルゾーンのBOAとアンクルハンモック構造によりカカトがライナー内でしっかり収まり、ヒールリフトを防いでくれる。さらに、レスポンスの向上も期待でき、ターンの切り返しやエッジング、ボードを動かす操作にも素早く反応してくれる。
快適性と自由度は言うまでもなく、移動時やリフト乗車時に微調整ができるので、長期滑走時での疲れも軽減できる。雪質や滑り方によっても締め具合を変えることで、一足で幅広く対応できるだけでなく、パフォーマンスの向上もバッチリだ。このように、最新のBOA技術はホールド感の向上やカスタマイズ可能なフィット感、運動性能のサポートなど、ライディングにもたらす影響は計り知れない。

ライダーレビュー

Ryusei Takahashi

スロープスタイルなどのコンペティションでの活動を経て、現在はバックカントリーやストリートでのフィルミングをメインに、そのスキルを遺憾なく発揮。洗練されているけどラフなスタイル。力強いフリースタイルと流れるようなターン。彼のライディングは2つの顔を持つ。

from Ryusei Takahashi

今季でかなりブーツのラインナップや構造のアップデートあり、悩みながら試すような形で「HIgh shots X pro」「High shots X」「Waverange X」の3モデルを使い分けて履いています。X proブーツにはじめて足を通した時は、かなりフィット感とストレッチに変化があり、全体的にアップデートされたと感じました。High shots X pro は前側の曲がり具合がかなり良く、全体的に均等に曲がってくれるので、かなりフィット感があって自然なフレックスでとても気に入っています。トリプルBOAのX proブーツは快適性がよく、とても使い心地もいいですし、締め具合の強弱がしっかり使い分けらるの滑りこごちも最高です。

from Ryusei Takahashi

X proブーツはフィット感の良さはもちろん、STEP ON®バイディングのESTと合わせることで、履き心地やボードからの直接的な感覚がかなり良い物があります。STEP ON®のセットアップとしてはかなり完成系に近づいたのではないかと思います。

High shots Xproは、繊細なコントロールや快適性、またフィット感をより求める方にピッタリでおすすめです。ぜひESTのステップオンバインと合わせてその進化を感じて欲しいと思います!

BOA搭載ブーツ紹介。

Waverange X PRO

BOAトリプルダイヤルシステムを搭載し、フィットを細かく調整できる構造のWaverange X Pro。フレックスレベルが4-7 (Medium-Stiff)のやや柔らかめの中上級者向けモデルで、フリースタイル・オールマウンテンで使いやすく、サーフィーな動きや遊びを重視するライダーにおすすめ。アウトソールには X Pro Flex Vibram Step On Outsoleを採用し、グリップ力・軽量性が高い仕様となっている。

Highshot X PRO

同じくBOAトリプルダイヤル搭載のHighshot X proは、フレックスレベルが6-9(Medium-Stiff)とWaverange Xproより硬めのモデルで、よりパワフルで反応の速い滑りを求めるライダー向け。ブーツ背部のバックステイが高めで、一体シェル構造、広めのアーチ補強・剛性重視という特徴をもち、高いホールド感とパワー伝達を約束する。高速域での滑走やカービング、コントロール性能を求め、操作性・レスポンスを重視する滑りをする上級者~エキスパート向けの一足。

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