photo : NikiAyako
2017年の登場以来、便利で快適なシステムとして人気を博しているBurtonのSTEP ON®シリーズ。専用バインディングとブーツでいち早くボードを装着でき、バインディングを締める煩わしさから解放されることで、よりライディングに集中することもできる。この秋、そんなSTEP ON®ブーツのラインナップが一新した。よりフィット感が向上しアップデートしたので、これまでSTEP ON®が気になっていた人や迷っていた人は絶好の買い替えチャンスだ。特に着目したいのが、デュアルBOAを採用するXシリーズの2モデル。その魅力に迫ってみた。
BURTON STEP ON®シリーズとは
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STEP ON®は、Burtonがその技術を集約して作り上げたストラップを使わずにブーツをバインディングに固定できるシステム。ブーツをバインディングに固定するのに、通常のストラップ式のようにラチェットでストラップを締める必要なく、カカト → つま先の順に踏み込むことで、ステップイン&アウトが可能という点が最大の売りとなっている。ブーツ・バインディングのどちらも、用途・レベルに応じてモデルが細かく設定されているので、レベルやスタイルに合わせて選ぶことができる。
KentaroMatsuda
STEP ON®は装着・脱着が速く、休憩中やリフト降り場などでストラップを調整する手間が省け、初心者をはじめゲレンデ通いのレジャー層や休憩が多いライダー、または誰よりも早くいい雪を狙いたいパウダー好きからも人気が高い。慣れるとワンフットのままゆっくり滑りながらの状況でもワンアクションでブーツをボードにセットできるようになるので、フラットが多いようなスキー場や子供や初心者に教える場面でも重宝する。
初心者・中級者であれば装着する手間の軽減がモチベーション維持につながり、上級者にとっても大いにメリットがあって、誰にでも十分にオススメできるシステムだ。
ブーツのモデルによる違い
今回新しくなったSTEP ON®ブーツには、「Waverange」と「Highshot」という2モデルがある。簡単に説明すると、Waverangeは柔らかめのフレックスで、サーフライクで自由なライディングに適した仕様。Highshotは硬めのフレックスで、安定性・レスポンスを重視した仕様。
さらに各モデルには 3つのグレードがあり、エントリー向けのスタンダード、ミッド~ハイエンド向けのXシリーズ、フラッグシップとなるX Proシリーズに分かれる。主な違いは、BOAダイヤル数の違いによるレーシングシステム、アウトソール素材(スタンダードは通常、上位グレードは Vibram® トラクションラグなど採用)、またライナーややカフ(足首周り)の構造もグレードで差別化されている。
デュアルBOAブーツのメリット
全6つのブーツの中から今回注目したのが、「Highshot X」と 「Waverangge X」のデュアルBOAを採用した2足。硬めフレックスを持つHighshotモデルのミッド~ハイ性能と、サーフライクに遊びたい人向けWaverangeのミッドグレードとなっている。
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あらためて説明すると、BOA®とは正式名称BOA®フィットシステムといい、独自のダイヤルと専用のレースとでブーツのフィットを調整するシステム。従来のシューレースやスピードレースよりも素早く・均一に・かつ細かく調節できるのが特徴で、スノーボードブーツではすっかりお馴染みの信頼できるシステムだ。そんなBOAが2つついたデュアルBOAタイプは、上部ダイヤル(アッパー) でスネ~足首のホールドを調整し、下部ダイヤル(ロウワー) で 足の甲~甲下のフィットを調整することができ、ブーツの上半分と下半分を独立して締め分けができる。
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ブーツの締め上げが上下で独立しているので、足首をきつく・甲は緩く、など自分の足型や好みに合わせた調整が可能となるのが一番のメリット。長時間滑っていても、圧迫や痛みを感じた部分だけ微調整できるのもデュアルBOAの強みである。
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rider: NielsSchack
ブーツの締め加減の好みには個人差があるが、上部をしっかり締めることで、ボードのエッジ切り替え時などに素早い反応を得られ、下部を適度に締めると、足裏感覚を残しつつ柔軟な操作ができるようになる。また、BOAなら均一な締め付けができるため、足の一点に圧が集中しづらいので疲れづらいというメリットも。長時間滑っても血流が悪くなりにくく、疲労が軽減されやすい。
BOAが2つあっても、装着やリフト中の調整もダイヤルを回すだけで簡単なことは変わらず、緩めるときもダイヤルを引くだけで一瞬で開放されるのでノーストレスだ。
上達したいならXシリーズがおすすめ!
デュアルBOA採用のXシリーズは、上達を狙いたい脱・初心者を目指す初中級者や、自分のライディングスタイルが確立している上級者にもオススメできる。
デュアルBOAで足の形や好みに応じてフィットを細かく調整し、快適性・フィット性を確保できる上に、STEP ON®システムなら休憩やリフト待ち、駐車場移動など頻繁な脱着がある環境下でも劇的にストレスが軽減する。
装着・脱着が速くて便利なので、日帰りで何本も滑る人や、装備を手早く済ませたいシーンには最適で、また、ゲレンデの上部と下部、朝夕など時間帯により雪質やバーンの硬さが変わったり、非圧雪部分があったりという環境では、ブーツの快適性とフィットの調整力、脱着の速さはメリットにしかならない。
上達すれば多様な地形で滑るようになるので、 遊びと滑りをバランスよく楽しみたいなら、Xシリーズのブーツはとても頼れる存在だ。気温や雪質変化によって休憩・着脱回数が増える場面でもストレスが軽減されるので、よりライディングに意識を集中させることもできるはず!
ライダーレビュー
竹内 悠貴
スノーボード界のレジェンド、竹内正則の息子として幼い頃からバックカントリーに慣れ親しむ。同世代のライダーたちがパークに打ち込むなか、ベテランライダーたちに混じってパウダーライディングに没頭し、まだ17歳にも関わらず、バックカントリーの経験はもちろん知識も豊富。その一方で、スタイリッシュかつイケイケなパークライディングも見逃せない。
幅広く選べるBURTON STEP ON®ブーツごを一部紹介
Waverange X STEP ON®
フレックスがソフト~ミディアムで、オールマウンテンやフリーライド、カービングからグラトリまで幅広く使いやすいモデル。上部・下部の2ゾーンを独立して締められるデュアルBOAを搭載し、ゾーン別のきめ細かい締め付け調整が可能。アウトソールには Vibram 製の STEP ON®/EST® Outsoleを用いており、雪面でのグリップ・安定性にも優れる。ターンの操作性がよく、特に快適性・装着の手軽さを重視するライダーにおすすめ。
Highshot X STEP ON®
操作性と安定性を重視した、フリーライド寄りのオールマウンテン向けブーツ。ミディアム~ミディアムハードフレックスで、カービング・ハイスピード域での安定性を意識した柔らか過ぎず硬過ぎない設定。履き心地の快適さとホールド力、反応性のバランスがよく、より精密な締め具合をゾーンごとに設定できるデュアルBOAを採用することで、快適性とパワー伝達を向上させている。
Waverange STEP ON®
Waverange STEP ON® は、滑ること自体をもっと手軽に、快適に楽しみたいという人に最適なモデル。サーフィーで流れるようなターンやオールマウンテン用途を想定した柔らかめのフレックス設定で、足への負担が少なく操作がしやすいので、初級~中級者にも扱いやすい。シングルBOAながら足へのフィットを出す設計で、快適性とフィット感を重視する人におすすめ。
Highshot STEP ON®
ゲレンデ全体をカービングや少しハイスピードで滑りたい人に最適な、ミディアムフレックスのブーツ。レスポンスとホールド力を重視した柔らかすぎないフレックスなので、ボード操作にある程度慣れていて反応の速さを求める中~上級者向け。シングルBOA採用のSTEP ON®ブーツなので、特にゲレンデを幅広く滑りたい、カービングも楽しみたい、装着/脱着をスムーズにしたいという人にフィットする。