東急スノーリゾートxBURTONxPOWによるマウンテンクリーンが、昨年に続き今年も開催された。
会場となったのは、東急スノーリゾートの5施設(「ニセコ東急 グラン・ヒラフ」(北海道)、「ハンターマウンテン塩原」(栃木県)、「タングラムスキーサーカス」(長野県)、「たんばらスキーパーク」(群馬県)、「スキージャム勝山」(福井県))。うち2カ所では各団体のスタッフに一般ユーザーも加わり、雪山を守るサステナブルな活動は広がりを見せている。
いつも楽しく滑らせてもらっている雪山への感謝と、この先も環境が続く為にもSURF&SNOWもたんばらスキーパークでマウンテンクリーンに参加してきたので、その様子をお伝えしよう。
東急スノーリゾートのテーマである「いつまでも雪と遊べる世界」、Burtonの「環境への負荷を最小限に抑え、思いっきりスノーボードを楽しむこと」、POW JAPANの「地球には、雪が必要だ」の考えのもと、マウンテンクリーンは各団体のスタッフを中心に、今年はたんばらスキーパークとスキージャム勝山において、雪山大好きの一般参加者も募集して行われた。
また、ハンターマウンテン塩原では地元小学校も参加し、雪山をみんなで守る活動に参加した。
雪がなくなったスキー場には、冬の間に意図せずとも落とされてしまった飲料の容器やお菓子などのゴミ、スキー用品など様々なものが落ちている。
意識しなければ見落としてしまいそうな小さなゴミも、集めるとものすごい量になる。冬の間存分に楽しませてもらった施設において、コースやスキーセンター周辺を歩きながらゴミ拾いをするこの活動を通して、山や自然の環境を守る意識を高めるとともに、スキー場勤務やメーカー、ショップスタッフなど、互いに違う立場の者同士が共同作業することはとても大きな意味を持つ。
5月も後半に入り好天に恵まれた5月21日、各スキー場はまばゆい新緑に覆われすっかり春を迎えていた。
我々が参加したたんばらスキーパークでは、当日朝10時に集合。通年でたんばらスキーパークに勤務しているスキー場関係者、原宿のBURTON FLAGSHIP STORE TOKYOスタッフ、そして事前応募をしてくれた一般参加者が集まった。参加者は群馬県内からばかりでなく、埼玉県や千葉県、東京など遠方からの参加も多く、その意識の高さに驚かされた。
受付では、今シーズンスキー場エントランスに設置していた「R-LOOP」の回収ボックスで不用品の回収も実施。この取り組みは、過酷な環境下で使用されるスキー用品の買い替えと廃棄の頻度に課題を感じている東急スノーリゾートが、環境 への取り組み「サステナビリティ for Snow」の一環として行なっているもので、シーズン中、4カ所のスキー場に回収ボッ クスを設置し、不要となった衣類や雑貨を回収している。
さすが感度の高いマウンテンクリーン参加者、この日も不用品を持ち込んで回収ボックスに入れる姿が見られた。
全員が集まり開会式で挨拶と当日の流れの説明を終えたら、さっそくバスに乗り込んでゲレンデ中腹へ。
グリーンシーズンにはラベンダーパークとして営業しているたんばらスキーパークは、雪が消えると綺麗に畝が整備されたラベンダー畑が姿を現す。つい数週間前までここで滑っていたのかと思うと、不思議な気分だ。2グループに分かれてクリーンナップがスタート!
パッと見ではとても綺麗なコース内。しかし、よーく目を凝らして歩いていくと、細かなゴミがあちこちで散見される。参加者の目も徐々に慣れてきて、小さなゴミを見つけるスピードもアップ。特にリフト線下では、タバコのフィルターやお菓子のゴミの切れ端などがチラホラ。
分解されない素材はやはりしっかり残っている物だ。
人が滑走中やリフトから落としてしまったものだけでなく、劣化したプラスチックやスポンジのような素材も多く見られる。おそらくスキー場施設で使用していたものの一部が長い年月と共に細かなゴミとなってしまったのだろう。
施設を維持する上で必要なものとはいえ、どんなにまめに改修して整備しても、すべては回収しきれない。実際にスキー場を足で歩いて見るとわかることだが、スキー場施設というのはとてつもなく広大だ。だからこそ、施設を管理している側だけでなく、利用させてもらっているすべての人がこのような活動に参加することが重要だとあらためて感じさせられる。あくまでもスキー場は自然の中にある自然ではないもの。それをできる限り自然に近い形にすることは、利用するすべての人が意識したいことだ。
スキーセンター周辺にはペットボトルなどの大きなゴミも目立ち、またコース途中では子どものスキー板まで発見!
大物を見つけるとなんだかテンションも高まり、だんだんと宝探しのようなゲーム感覚にもなる。最初は初めて会う者たち同士、どことない距離感があったのだが、気づくと同じペースでゴミ拾いを進める人たちの間には仲間意識のようなものが芽生え、会話も生まれていた。
気づくとあっという間に1時間半がたち、山麓に戻る頃にはそれぞれのゴミ袋には小さなものから大きなものまで、たくさんのゴミが集まっている。全員が戻ったところで集めたゴミと記念写真。
総勢約30人で拾い集めたゴミがそれなりの量となったことがお分かりだろう。
最後には東急スノーリゾート、BURTON、POWの各代表からの挨拶。
東急スノーリゾートの大池さんは、他県からもたくさんの人が集まったことへの感謝と、少しでも自分たちにできることを多くの人が行動にし、これからもみんなが楽しめるスキー場を維持していくことへの意気込みを話してくれた。
BURTON原宿店の店長さんは、今回BURTONだけでなくスキー場関係者や一般参加者とも一緒に活動できたことのもつ意味と、今後も続けていくことの大切さを語った。
長野から参加したPOWのアンバサダーでプロスキーヤーの大池拓磨さんは、今回マウンテンクリーンで参加者に用意されたペットボトルについても言及。
できる限りプラスチックの消費を避ける選択や、移動時における二酸化炭素の排出についても触れ、人が行動する以上は避けられない環境への負担を意識するとともに、それを別の形で還元することの大切さを伝えてくれた。2025シーズンは多雪となったが、決して地球温暖化が収束しているわけではない。雪や自然が大好きで、その恩恵を受けている我々は、つねに危機感を持つことが大切なのだ。
東急スノーリゾート5カ所で開催し、たくさんのゴミが拾い集められた今回のマウンテンクリーン。
しかしそれは、全体のほんの一部でしかない。
ひとりひとりが環境への意識を高め、ゴミを出さない努力と、落ちているゴミを放っておかない責任感をもち、それを少しでも広げていくことが重要になる。
自分のまわりからでもいい、ほんの小さなパワーでも、たくさん集まればきっとそれが大きなパワーとなり、環境に影響を与える一助となることもできるだろう。
今後も我々ウィンタースポーツを楽しむ立場では、大好きな雪山で多くの人がスキーやスノーボードを楽しめるよう、できる限りの努力を続けていきたい。
みんなが気持ちよく楽しめるこの国のスキー環境が、この先もずっと続きますように……!!