from ヴィクトリア御茶ノ水本店・ナビゲーター田村さん

16歳から、当時ブームとなっていたスノーボードの魅力に惹かれ、Victoriaでスノーボード担当としてもアルバイトをし、それから冬はスノーボードに集中し、夏には海外で滑るなど、1年中スノーボードに熱中。その後、お世話になっていたVictoriaへ正社員として入社し、バイヤーも務めた経験を活かし、現在は店舗ナビゲーターとして活躍中。最近は家族や仲間とスキー場へ行ってスノーボードを楽しんでいる。

from SURF&SNOW 営業スタッフ・松田

スノーボード歴5年。シーズン平均60日滑るほどスノーボードが好きだが、ギアの知識はまだ浅く、日々勉強中のSURF&SNOW新入社員。

from 松田

最近、キャンバー、フラット、ロッカーなど、いろんな種類があるじゃないですか。そういった名前は知っているんですが、あまり違いがわからないんです……。

from 田村さん

どういった滑りをメインでやりたいのか。どれくらいのレベルなのか。そういったことをヒアリングしながら、どんな形状や特徴のあるボードがお客様に適しているのかを提案させてもらっています。

from 田村さん

ただ、こういったボードがあるよっていうのを知っていただきたいので、次のような話はお伝えしています。
まず、ボードを床に置いたときにセンター部分が浮いていて、真横から見ると弓のような形状をしているのがキャンバーボード。昔はこの形状しかありませんでした。エッジのグリップ力があってキレのあるターンができる。反発力を活かせば高く飛べる。そのようなメリットがあるんですが、思いどおりに操作するにはテクニックとパワーが必要ですし、エッジが不意に雪に引っかかって転倒してしまう逆エッジに繋がる場合もあります。そこで、もっとラクに乗りこなせるようにと、エッジの引っかかりが少なく、旋回性の高いフラットボードやロッカーボードが登場しました。

from 田村さん

ロッカーボードは、床にボードを置いたときにセンター部分だけが床に触れているので、驚くほど簡単にクルクル回ります。雪上でも扱いやすいですが、スピードを出したときの安定性に少し不安を感じやすく、エッジのグリップ力と反発力も弱いところがデメリットと言えます。
そして、それらを克服しようと誕生したのが、キャンバーとロッカーのいいとこどりをしたハイブリッドキャンバーやダブルキャンバーです。特にハイブリッドキャンバーはオールラウンドに使えるので、現在のボード構造においては主流と言ってもいいかもしれません。カービングもグラトリもパウダーもパークも……本当に何でも卒なくこなせて総合力が非常に高いですからね。
という話をさせていただくと、ハイブリッドキャンバーがいいって言われるお客様が多くなります（笑）。

from 松田

ですよね。私も完全にハイブリッドキャンバー派になってました。具体的にハイブリッドキャンバーとダブルキャンバーって、どういった形状なんですか？

from 田村さん

ハイブリッドキャンバーは、ボードのセンターがキャンバーなんですが、ノーズとテールにロッカーがブレンドされていて、キャンバーのメリットはそのままに、エッジの引っかかり感を軽減している形状です。また、ダブルキャンバーは、ボードのセンターはロッカーですが、両足の下にそれぞれキャンバーがあって、ロッカー特有のズルズル感を少しマイルドにし、キャンバーのキレや力強さを備えた形状ですね。

from 松田

なるほど！ これからスノーボードを始める方は、どういったボードがオススメなんですか？

from 田村さん

まったくのビギナーさんやお子さんの場合は、やはり危険な逆エッジを避けるためにも、そこまで脚力を必要とせずとも簡単に曲がれるフラットボードやロッカーボードを提案させてもらっています。

from 松田

グラトリが上手くなりたい！って思ったら、どんなボードに乗るべきですか？

from 田村さん

グラトリに初めてチャレンジする方、例えば、飛んだり跳ねたりせずに雪上をクルクル回るトリックにトライするのであれば、フラットボードやロッカーボードがオススメです。あとはダブルキャンバーですね。これもベースはロッカーですのでルーズな乗り味になっています。一方、キャンバーベースのハイブリッドキャンバーになると、グラトリでも飛び跳ねたい人、地形を使って遊びたい人、グラトリ＋パークも軽く流したい人に向いていると思いますね。

from 松田

グラトリも上手くなりたいけど、やっぱり今シーズンはあれもこれも上手くなりたい。私、やりたいことが多すぎるんです。

from 田村さん

でしたら、やはり総合力の高いハイブリッドキャンバーがオススメですね。滑り込んでいくうちに自分のやりたいことが明確になってきたら、より適したモデルに買い替えるっていうスタンスがいいんじゃないでしょうか。例えば、パークでも特にジャンプを上手くなりたい、もっとキレのあるカービングをしたいって強く思われるようになったらキャンバーボードをセレクトするといった具合ですね。

from 松田

ちなみにボードの長さは、どれくらいが適正ですか？

from 田村さん

身長からマイナス15～20センチくらいが推奨と言われています。これはビギナーの方も同じです。極端に短い長さにしてしまうと安定感がなくなってしまうんですよ。それにフラットボードやハイブリッドキャンバーの場合、キャンバーボードに比べて雪面に接している面積が狭いので、実際の長さよりも少し短いボードと同じくらいの操作感、つまり、ボードを簡単に動かせるんです。ただ、グラトリだけに集中したいのであれば、やや短めのボードをセレクトするほうが軽快な動きに繋がると思います。

from 松田

長さ以外にもチェックするべきポイントってありますか？

from 田村さん

ボードの硬さですね。ビギナーの方には特にやわらかいモデルをオススメしています。そのほうが簡単にボードがしなって曲がりやすくなりますからね。ボードを押したときのフレックスもそうなんですが、特にねじれ（トーション）がやわらかいと、よりラクにターンすることができると覚えておいてください。ですので、ビギナーの方は、長さはスタンダードなものを、そしてフレックスとトーションはやわらかめのモデルを選びましょう。
グラトリをメインでやりたい方であれば、雪上でクルクルと回りたいのか、ジャンプを織り交ぜたトリックをやりたいのか、によって選ぶべき硬さが変わってきます。ジャンプ要素が多くなればなるほど、少しハリのあるモデルがオススメになってきます。

from 松田

では、ハイブリッドキャンバーでオススメのモデルを教えてください。

from 田村さん

スピントリックやオーリーの技術を習得しやすいビギナーにもお勧めSESSIONSの「SELECT PLUS」ですね。ハイブリッドキャンバーを採用し、フレックスもミディアムソフト、上達の為に初めての買い替えを検討している方には価格もスペックもオススメです。

また、烈男くんが手掛けているシグネチャーボードのAWESOME REOも、形状はフラットボードなのですが、逆エッジになりづらく、どんなフィールドでも楽しめます。

from 松田

本州から北海道に行くときなど、電車などの公共交通機関を利用する場合にオススメのボードバッグってありますか？

from 田村さん

このSESSIONSのボードバッグは、ボードを入れるメインの荷室以外にも、防水仕様の荷室が3つあります。しかも、そこにブーツ、ヘルメットやグローブ、ウエアなどを余裕で入れられる大容量サイズ。ウィール付きではなく背負うタイプですので、両手を使えるのもメリットだと思います。さらに宅急便の伝票を入れる部分があったり、かなり細かなところまで配慮の行き届いたアイテムなんですよ。

from 松田

えー、めっちゃいい！ しかも、背負って歩くとき、ボードバッグが足に当たらない絶妙な設計が最高です。

from 松田

私、ちょいダボなウエアを着ているんですが、現在のスノーボードウエアのトレンドに合ってますか？

from 田村さん

いいですね。今シーズンも以前から継続してルーズなシルエットのウエアが流行っていますよ。細かいことを言うならば、ジャケットはジャストサイズなんですが、パンツだけ1サイズか2サイズほどアップさせた着こなしが、今の若いプロスノーボーダーたちの間で流行っています。

from 松田

それ、トライしてみたい！ デザイン面での流行りはありますか？

from 田村さん

プルオーバーだったり剥き出しのジップだったり、2トーンの切り返しやパイピングなど、1990年代後半から2000年代初頭に流行ったテイストが人気ですね。キーワードとしてまとめるなら、レトロクラシックといったところでしょうか。また、カーゴポケットやマチの大きなポケットなど、ポケット自体がデザインの一部になっているウエアも流行っています。

from 松田

トレンドのカラーっていうのはありますか？

from 田村さん

アースカラーやシックなカラーが人気ですが、昨シーズンあたりから総柄プリントのデザインや迷彩カラーの人気が再燃しているように感じます。また、アパレル業界ではトレンドカラーというものが毎年発表されているんですね。2025年は紫でした。そういった流れもあってか、今季はどのブランドもパープル系のウエアが増えたように思います。

from 松田

ふむふむ。ゲレンデに行くと、上下同色のウエアを着てる人が目に止まったんですが、それってトレンドなんですか？

from 田村さん

そうですね。上下同色のセットアップは、今シーズンもトレンドとして継続しているかと思います。ただ、プロスノーボーダーやファッションに敏感な方は、そこを通り過ぎたような気もしています。ですが、今シーズンも上下を同色で揃えたり、ジャケットで使われている一部のカラーをパンツのメインカラーにするといった統一感のある着こなしは引き続き人気がありますよ。

from 松田

勉強になります。

from 松田

私、ミトンがかわいいと思って使い続けてきましたが、現在のグローブのトレンドを教えてください。

from 田村さん

まさにミトンです！ 3本指のトリガータイプも増えてきましたが、やはりミトンは根強い人気があります。お店でもスノーボーダーの方の約8割はミトンを選ばれていますよ。

from 松田

よっしゃー！

from 田村さん

最近は、手の甲にジッパーがあって、グローブをいちいち脱がずに指を出せるモデルが増えてきています。ゲレンデでスマホなどで撮影する方も多いじゃないですか。そういったときに、とても便利な機能なんですよ。それに付随してインナーグローブもスマホ対応のモデルが増えていますね。

from 松田

オススメのモデルを教えてください。

from 田村さん

SESSIONSはモノがいいのに低価格に抑えられていて、かなりコスパが高いのでオススメです。ただ……メンズしかないので、女性には小さめサイズを選んでもらうしかありません（苦笑）。また、先ほどボードのお話のときに紹介させていただいた高橋烈男くんモデルに乗るのであれば、KOMBIというブランドから烈男くんモデルのグローブが出ているので、それと合わせるのがいいかもしれません。レザーグローブなのに価格は15,000円程度。めちゃくちゃコスパが優れたモデルなんです。

from 松田

ショップに来るたびに物欲に負けるんですが、これは絶対に買ったほうがいいというアイテムってありますか？

from 田村さん

ボード・バインディング・ブーツといったハードギア、そしてウエアやグローブ、ゴーグルといったところは、皆さん、とても真剣に選ばれます。ですが、重要なのに軽視されがちなアイテムもあります。それがソックスです。寒いからといって普段履きのソックスを二重履きするとブーツ内でズレてしまい、きちんとボードに力を伝えられませんし、コットン製だと足がムレムレになって不快感に繋がるんです。

from 松田

どんなソックスがいいんですか？

from 田村さん

通気性や速乾性に優れた素材を使用しているというのはマストで、そのうえでブーツに当たる部分が分厚くなっていたり、強い衝撃がかかるところはクッション性を高めていたり……スノーボードのことを第一に考えているソックスですね。特にビギナーの方には、ブーツをセレクトする前にスノーボード用ソックスを購入していただきたいくらいです。

from 松田

そうだったんですね！

from 田村さん

足先が冷えてツラかったという方のなかには、ソックスを変えるだけで血行が良くなって冷えや痺れがなくなったという場合もあるんですよ。

from 松田

ソックスもギアのひとつとして考えるべきなんですね！