1998年に開催された冬季・長野オリンピックの会場となったことでも知られる白馬は、冬は良質な雪と斜面を求めて世界中からスキーヤーやスノーボーダーが集まり、夏には3000m級の頂を目指すアルピニストたちを魅了する、日本を代表する山岳リゾートだ。日本アルプスの最北部に位置する後立山連峰の北の代表格である白馬連峰には、白馬三山といわれる白馬岳(標高2932m)、杓子岳(標高2812m)、白馬鑓ケ岳(2903m)がそびえ、HAKUBAのシンボルとなっている。
そんな雄大な山々の麓に位置する白馬エリアそのものが「HAKUBA VALLEY」であり、またエリア内(大町市、白馬村、小谷村)に点在する9スキー場の総称が「HAKUBA VALLEY」でもある。それぞれに個性を持つ9のスキー場が連携し、ひとつのスノーリゾートとして新たな価値と魅力を生み出しているのがHAKUBA VALLEYなのだ。
HAKUBA VALLEY共通リフト券
9つのスキー場がひとつとなった1番のメリットは、それまで各スキー場にて個々に管理・運営されていたチケットの体系がひとつに統一されたことだ。具体的には、9のスキー場を滑ることができる「HAKUABA VALLEY チケット」が作られ、購入者は有効期間内であれば窓口に並ぶことなく、直接各ゲレンデのリフトに乗車することができるようになった。チケットには1日券、2日券、3日券があり、エリア内どこのスキー場でも使用可能、もちろん一日で複数のゲレンデを滑ることができる。
HAKUBA VALLEYのゲレンデは標高が高いため豊富な雪や地形に恵まれ、絶景に出会うことができる一方、風などの影響を受けやすいという面もある。自然環境の中で楽しむスキーやスノーボードにはつきものだが、ゴンドラやリフトの運休という事態も当然起こりうる。だが、南北に広がり、斜面の向きもそれぞれ異なるHAKUBA VALLEYの9スキー場では、同じ日でも天候やコンディションがまったく異なることはしばしば。
吹雪いているゲレンデがある一方、青空が覗いているゲレンデがあるという状況も珍しくない。つまり、9スキー場で利用可能なこの共通リフト券は、コンディションに合わせて滑りに行く先の選択肢を利用者に与えてくれる。
HAKUBA VALLEYのゲレンデ間は無料シャトルバスが運行されているので、スキーブーツを脱ぐことなく別のスキー場へとアクセスができる。リフト乗車時には、ICチップ入りのHAKUBA VALLEYチケットを身につけ、先シーズンより新たに導入されたゲートシステムを通過するだけ。(注: 爺ヶ岳・鹿島槍では、一旦窓口でスキー場チケットとの引き換えが必要。)
また、HAKUBA VALLEYに来場して購入したICカードリフト券は、「My Hakuba Pass」として、インターネットから次回利用のリフト券をチャージすることができ、繰り返し使用できるようになっている。これを利用すれば、利用日の朝にチケットセンターに並ばずとも直接リフトに乗車することができるというワケだ。
HAKUBA VALLEYのスキー場
では、HAKUBA VALLEYにある9つのスキー場を紹介しよう。日本を代表する一大スノーリゾートHAKUBA VALLEYをぜひ満喫してほしい。
白馬コルチナスキー場(小谷村)
白馬エリア最北端に位置し、豊富な積雪量とエリア随一の極上のパウダースノーを楽しめる、海外からの注目度も高いスキー場。頂上からの眺望は北アルプス後立山連峰や妙高を含む北信五岳を望むことができ、絶景が拝める。キッズやファミリーに嬉しい設備も充実。
白馬乗鞍温泉スキー場(小谷村)
北アルプスの北端、白馬乗鞍岳の麓に広がる100%自然降雪のスノーパラダイス。スキー場は里見ゲレンデと若栗ゲレンデの2エリアからなり、ビギナーからエキスパートまで満足出来るコースバリエーションが揃う。全コース、スノーボード・スノースクート滑走可能。
栂池高原スキー場(小谷村)
白馬エリア最大級の広大なフィールドにはワイドな緩斜面が広がり、初心者や初級者からファミリーまで安心して楽しめる。ちびっこやビギナーだけでなく、「TSUGAIKE POWDER」と呼ばれる非圧雪エリアも人気で、多くのパウダー好きからも支持されるゲレンデ。
白馬岩岳スノーフィールド(白馬村)
白馬連峰の眺望と、360°のパノラマが広がるフィールドには、ゴンドラ・リフト16基があり、自然地形をそのまま活かしたバラエティ豊かな25のコースが広がる。自由自在なコースどりが可能で、開放感が楽しめるスキー場。非圧雪のパウダーコースも人気だ。
白馬八方尾根スキー場(白馬村)
日本を代表するスキー場のひとつで、屈指のスケールを誇る。長野オリンピックで数々のドラマを生んだ舞台でもあり、唐松岳(標高2196m)の裾野にバラエティ豊かな中・上級コースが展開する。ゲレンデ上部のタフなコブバーン、標高差1000m超のロングコースなど、滑りごたえ抜群。
Hakuba 47 Winter Sports Park(白馬村)
パークが充実する中上級者向きゲレンデだが、山頂から6.5kmのロング林間コースもあり、初心者も絶景を楽しめる。スノーパークには有名ライダーが多く訪れ、ハイレベルな滑りを間近で見ることができる。山頂で繋がる白馬五竜と合わせた全23コースが広がる。
白馬五竜スキー場(白馬村)
11月下旬からゴールデンウィークまで滑走できる豊富な積雪量を誇り、アルプス、とおみ、いいもりの個性豊かな3つのゲレンデからなる。レーシングコース、モーグルコース、スノーパーク、キッズゲレンデなど各種専用エリアがあり、バラエティに富んだコースが魅力。
鹿島槍スキー場(大町市)
雄大な鹿島槍ヶ岳(標高2,890m)を望むロケーション抜群のゲレンデ。ノースMtとウエストMt.の2つのピークがあり、ゲレンデトップ部の標高は1,550mでダイナミックな眺望が堪能できる。トップシーズンにはパウダースノーにも恵まれる。
爺ヶ岳スキー場(大町市)
エリア内最南端に位置する、爺ガ岳の東斜面に広がる緩斜面が中心のスキー場。晴れた日には、安曇野北部の景色も谷間から覗き見ることができる。 自然の雰囲気を味わえる林間コースやソリ遊びのできるチビッコゲレンデがファミリーにも人気。
text : Kensuke Itahara